メニュー

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、強いかゆみを特徴とする湿疹が、長期にわたり良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚炎です。
都市部では、5歳以下の小児では4~5人に1人、成人では約20人に1人の割合でみられ、日常生活においてはよくみられる皮膚疾患です。

要因の一つとして、アレルギーに関するIgE抗体を作り出しやすい体質(アトピー素因)であることが特徴としてあげられます。
この素因のため、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性結膜炎などのアレルギー性疾患を合併していることが多いです。
また、角質層の異常に伴い皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすいのも特徴の一つです。

原因

【免疫の過剰反応】
本来は細菌やウイルスから体を守ってくれる免疫反応が、アトピー素因によって過剰に反応します。
不必要に内部で炎症が起こることによって、アトピー様症状を発症します。
アトピー性皮膚炎に関係するアレルゲンは、年齢とともに変化します。
乳幼児期には食物アレルゲン(卵白・牛乳・大豆など)。
成長するにつれ、住居内アレルゲン(ダニ・カビ・ハウスダストなど)、住居外アレルゲン(花粉など)が原因・悪化因子となることが多いです。

【バリア機能異常】
健康な皮膚は、最外層の角層が外部からの刺激から身体を守っており、皮膚のバリア機能は角層の水分含量が大切な役割を担っています。
アトピー性皮膚炎の場合、水分含有量が少なく、また水分が蒸発しやすいことから乾燥肌になりやすいことが特徴です。
よってバリア機能が低下し、外部の有害物やアレルゲンが通過しやすくなり、皮膚炎が悪化しやすくなります。

症状

主な症状として、強いかゆみを伴う特徴的な発疹が、長期にわたり良くなったり悪くなったりを繰り返します。

【乳幼児期】生後2か月から2歳
顔や首、頭皮に多くみられます。
小さく盛り上がった湿疹や、じくじくと湿潤や液体を伴う湿疹が特徴です。

 

【小児期】3~4歳から12歳
乳幼児期の症状が一旦治癒し、期間をおいてから発症する場合と、この時期に初めて発症する場合があります。
肘やひざ裏、体幹に多くみられ、乾燥が目立ち鳥肌のような皮膚が特徴です。
耳周囲に赤みや亀裂(耳切れ)が生じることもあります。

【思春期・成人期】12歳以降
全身的に、広範囲に症状がみられます。
強い乾燥と、皮膚が厚くかたくなる発疹が特徴で、長期にわたり症状を繰り返すことで色素沈着を引き起こします。


上記のような症状が6か月以上(乳児は2か月以上)続く場合を「慢性」と指し、アトピー性皮膚炎と診断します。

治療

かゆみや皮膚の炎症を抑えるため、外用剤と内服薬でコントロールします。
健康な皮膚の状態を保ち、日々の生活に支障がない程度に維持することが治療のポイントです。

ステロイド外用剤
皮膚炎の部位や炎症の強さに応じ、ステロイドの種類を調節します。

タクロリムス外用剤
中等度のステロイドと同等の効果があり、長期使用でもステロイドのような副作用が起こりにくいのが特徴です。
特に、顔と首の皮膚炎に適しています。

内服薬
かゆみに合わせて抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などを服用します。

デュピクセント(注射)
従来の治療方法を一定期間投与しても十分な効果が得られない、15歳以上の重度アトピー性皮膚炎の方が対象です。
2018年に世界で初めて開発された生物学的製剤であり、一筋の光が差し込む画期的な治療薬といわれています。
皮疹やかゆみの原因となるサイトカインを選択的に内側からブロックし、高い効果が期待できます。

スキンケア

アトピー性皮膚炎には、皮膚の乾燥と角層のバリア破壊が伴っています。
そのため、症状が良くなってからも毎日の継続したスキンケアが大切です。
皮膚を清潔に保ち、保湿剤を塗り保護しましょう。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME