この度６月から、「乾癬(かんせん)」「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」「円形脱毛症」「白斑」「アトピー性皮膚炎」といった、難治性の皮膚疾患に対し有効とされている『紫外線療法』を導入致しました。

 

紫外線療法とは

紫外線の免疫抑制作用を利用し、過剰反応を起こしている皮膚の症状を鎮静化させる治療方法です。
主にUVA（長波長紫外線）・UVB（中波長紫外線）・ナローバンドUVB療法の3種類に分類されます。
従来はUVAが広く使用されていましたが、反応に時間がかかるため、光の感受性をよくさせるために事前に外用剤や内服薬を使用する必要がありました。
よって、最近では反応が速いUVBを単独に用いた治療が主流になっています。

UVBの波長は280-315nmですが、治療に適する波長は一部です。
その有効な波長だけを取り出したものが、『ナローバンドUVB（311±2nmの波長）』と『エキシマライト（308nmに限定した波長）』です。

 

エキシマライトとは

ナローバンドUVB療法は20年以上前から行われていますが、小範囲の皮疹だけにスポットを当て照射することが難しいのが難点です。
また研究が進むにつれ、エキシマランプを使用し308㎚の限定した波長を利用した方がより効果が高いといわれるようになりました。
よってエキシマライトによる紫外線療法は、
➀広い照射により健常な皮膚への過剰な照射を防ぎ、病変部位にのみピンポイントで照射ができる。
➁照射時間が短く、よりスピーディーに治療が可能。
短い波長の「光」を使った、新しい『ターゲット型光線療法』です。

当院で採用した『セラビームUV308Slim』は、リスクになりやすい短波長成分を世界初の「エキシマフィルター」技術でカットされています。
真っ赤、すなわち日焼けが強くならないように注意しながら照射することでリスクを低減し、より安全性が確保できます。

 

効果が期待できる疾患

〇尋常性乾癬　➡　赤み・かゆみ・硬さの軽減
乾癬とは、「皮膚の炎症」と「皮膚の新陳代謝の異常」の2つの側面を持つ病気です。
乾癬の皮膚では炎症を起こす細胞が集まり活発になっているため、毛細血管が拡張し、皮膚が赤みを帯びた状態になります。
また、健康な皮膚と比べて10倍以上の速度で生まれ変わり、生産が過剰な状態となっています。
そのため厚く積みあがった皮膚の表面が、りんせつ(銀白色の垢)となってポロポロとはがれ落ちていきます。
はっきりとした原因は分かっていませんが、免疫のバランスが崩れ、自身の皮膚を攻撃してしまうことから発症します。

〇掌蹠膿疱症　➡　水疱や膿疱の出現を抑える
掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に膿がたまった小さな水疱（膿疱）が数多くできる病気です。
良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、出始めには痒みを伴うことが多いです。
膿疱の中には細菌はなく、人に感染することはありません。
原因ははっきりと解明されていないケースが多いですが、喫煙や金属アレルギー、病巣感染（扁桃炎、虫歯、歯周炎、副鼻腔炎）などが関与していると言われています。

〇白斑　➡　色素の再生を促す
皮膚の色が白く抜けてしまう、後天性の脱色素斑です。
局所的に症状が現れる限局型、全身いたるところに症状が現れる汎発型、皮膚の神経に沿って症状が現れる分節型の３種類があります。
原因は特定されていませんが、過度のストレス等で自己免疫や自律神経に異常がおき、色素細胞（メラノサイト）が減少、又は破壊されることが原因と考えられています。
皮膚病の中でも最も治りにくい病気の一つです。

〇円形脱毛症　➡　脱毛の抑制と、うぶ毛の再生
突然、コインのような円形型の脱毛が起こる病気です。
眉毛やまつ毛も含め、毛の生えているところはすべて発症する可能性があります。
詳しい原因はわかっていませんが、発症しやすい体質にいくつかの原因が引き金となって発症すると考えられています。
その中の一つが自己免疫異常です。
毛を作り出す毛球部が異物と間違えられ、リンパ球によって攻撃されてしまい、毛根が傷んで脱毛が起こると考えられています。
円形脱毛症＝ストレスというイメージがありますが、直接的な関連は分かっていません。

〇アトピー性皮膚炎　➡　かゆみ・硬さの軽減
強いかゆみを特徴とする湿疹が、長期にわたり良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚炎です。
明らかな原因はまだわかっていませんが、遺伝的に皮膚の乾燥とバリア機能が低下していたり、様々なアレルギーが影響していると考えられます。

 

治療の流れ

まずは診察致します。
医師が適応と診断し、患者様とご相談させていただいた上で紫外線療法を開始します。
ご予約は不要です。診察後、すぐに照射ができます。

◆週に1～2回の照射で、疾患により3～10回目で効果が出始めます。
◆トータルの治療回数は肌質や症状、照射頻度により異なります。
　その都度皮膚の反応を確認し、光の強さを決めます。
◆照射範囲によりますが、1カ所への照射時間は数秒です。

 

治療費

保険適応で治療が受けられます。
3割負担の場合：１回　約1,000円
（診察料・処方料は別途かかります）

 

よくあるご質問

Q：痛みはありますか？
A：痛みは感じません。ほんわかと温かい感じがします。

Q：日焼けのように赤くなったり黒くなりますか？
A：適度な赤みを目安に照射出力を決めます。
当日と翌日は日焼けが強まることがありますので、プールやアウトドアなど強い日光に当たることは避けましょう。

Q：当日注意することはありますか？
A：日常生活の制限はありません。
日焼けサロンや、照射部位の日焼けは避けるようにしましょう。
また、肌が乾燥する場合は保湿をしっかりしましょう。

🌟エキシマライトは、難治性の皮膚疾患に対する新しい治療法です。
従来の治療法でお悩みの方、ご興味のある方は気兼ねなくご相談くださいませ😌